もしかして私、こじらせてます?

東京女子物語🗼この物語はフィクションです。

銀座のナンパ師とご飯に行った

開口一番サカベンは遅れたことを謝るでもなく「よっ!」と言った。

 
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どこに行くかも告げず有楽町方面に歩いていくサカベン。入ったのはチェーン店の居酒屋が多数入っている雑居ビルだった。しかもエレベーターを待ちながら「どこにしよっかー☆」と考えていた。
 
結局、普通の居酒屋で普通のご飯を食べた。案内された席はL字型の席で対面席よりはいいかなと思った。
ご飯も食べたし、お酒も飲んだけれど、盛り上がらない。そもそもが合わない。話をしていても話し出すタイミングが被るし、喋っている最中なのに話を重ねてくる。
 
酔いもトークも全く盛り上がっていないのにサカベンはわたしにボディタッチを試みる。膝が微妙に触れ合い、その後おどけた様子で抱きついてくる。
 
 
 
....苦手だ。
 
 
 
その度にトイレに逃げた。
頻尿と思われても構わない。
会って2時間経ったくらいでしょうか。
サカベンは熱弁をふるいだしました。
 
「両手を両端に伸ばした長さ=その人の身長
って言うじゃん?」
「...うん」
「知ってた?」
「うん」
 
 
「肘から指先までの長さ=膝下の長さじゃん」
「...うん」
 
 
「手の親指から小指までの長さ=頭の端から端なんだよ、知ってた?」
 
「...ふーん」
 
「知らなかったでしょ?
やってみ?いまやってみ?」
 
「おやゆびからこゆびが、あたまのはば?」
 
「せやで、せやで!俺やったげるわ☆
手ぇの親指から小指があたまの幅から幅ぁ
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...チュッ☆」
 
 
 
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チュッてされたよ。
わけのわからない流れてキスされ、これがキスまでのフリだったのか、よくわからなかったな、あぁもう帰りたいなと思った。
 
はぁ、幅ぁ...
というのは喘いでいるわけではない。
理解が出来なかったのだ。
 
 
キスまでの流れが謎過ぎて「えっ、なんでその流れで?」と考えて固まっていたら「そんな照れなくてええんやで☆」と言われた。
酔いが一気にさめたことを覚えている。
 
 
 
あぁ、帰ろう。絶対に家に帰ろう。
と呪文を唱えていたらお会計になっていた。サカベンはカードで支払いをしていたので「おいくらです?」と尋ねたら、「要らないよ」と言われた。
 
 
地上に降り立ったわたしは駅に向かって歩いていた。しかしサカベンに腕をひっぱられ「2件目いこうよ☆」と言われた。正直、さっきのキスで酔いが冷めてしまっていたからまだ酔いたかった。お酒を欲していた。だから「終電で帰らせてくださいね」と冷たく告げ着いていった。このとき22時50分。
 
 
「おぅ、2人きりで飲めるところがあるんやで☆」と言う彼に「ホテルなら嫌です。お店ならいいですよ」とわたしは言った。そしてサカベンに案内されたのはレンタルルームラブホだった。